2019年2月4日発売の週刊ヤングマガジン10号に連載中の『センゴク権兵衛』
最新話のあらすじと感想をネタバレありで紹介します。
センゴク権兵衛 前回127話のネタバレとあらすじ
センゴク権兵衛 前回127話のネタバレとあらすじはコチラ!!
センゴク権兵衛 128話のネタバレとあらすじ
仙石隊の進は東海道(箱根路)。
目指すは北条氏本拠の「小田原城」。
本拠小田原城へ進む前に、百五十以上の「支城群」が立ちはだかる。
そして、東海道(箱根路)で最大規模を誇るのが、まさに道を阻む山中城。
ここが小田原の役に於ける激戦の嚆矢となるのである。
山中城主の松田右兵衛大夫康長(以下、康長)、城兵らに高々と喧伝する。
康長「この山中城はっ、兵の収容数は一万ッ。只今もっ、続々と味方が終結しておるっ。豊臣は大群なれど、各方面に兵を分散せざるを得ず、ここに来襲したとてせいぜい数万ッ。容易に撃退能うものであるっ。聞かば豊臣軍ッ。兵糧の調達に苦慮しっ、ところ(山芋)を掘りつつ進軍しておるという。全く以て恐るるに足らず」
一方、小田原城。
北条左衛門大夫氏勝(以下、氏勝)「城将松田康長は空言を重ね、兵を鼓舞しているものの、その内実たるや。兵は収容数の半分の五千にも満たず、それどころか城の普請も間に合うや否や。加えて豊臣軍は兵糧も豊富との由。寧ろ山芋掘りで兵糧確保しておるのはお味方自身。山中城の上下士、悉く死すまで戦う意向。城主松田康長曰く、『驕る豊臣軍に命を賭す将は皆無。我らの死戦が敵に厭戦気運を蔓延せしめ、必ずや有利な和睦成立を確信する所存』と。最後に『全滅はわれらの望みし道にて悪逆に非ず。単に北条の繁栄を祈る』……との由。拙者も山中城に戻りまする。言伝は如何?」
北条左京太夫氏直「奉謝……の一言だ」
氏勝「ご新城様……。その御身に城兵五千の命を背負う心労、察し申す。ご健勝を」
京、黒田官兵衛孝高(以下、官兵衛)は辯士衆の協力を仰ぐべく、その一人を大阪城に招いていた。
官兵衛「貴殿ら辯士衆が口八丁で世情を動かすことについて、上方は甚だ迷惑も蒙っておるが、同時に高く評価もしておる。知っての通り是より上方は小田原に出兵する。総量的に負けることはない……が、力攻めはなるべく避けたい。天下人の合戦たるもの、犠牲を抑え勝利後の統治も考えておかねばならん。然るに殿下が我に命ぜらるるは、流言により北条方の民心、離反せしめ、降伏開城を早めるべしと。是即ち『呪言の計』」
辯士「成程、お安い御用に。要は、民衆の目を転換せしむと。民の敵は豊臣ではなく、寧ろ軍役を強いる北条家であると」
官兵衛「あいわかった。流言を一任す。敵味方城兵、三十万の命が救済されることを祈る」
豊臣方の驚異的な諜報網により、兵数・兵站は事細かに定量化され、「数の合戦」が着々と推し進められようとしていた。
一方、仙石隊一行。
仙石権兵衛「兵糧が心配じゃ! ここらの山で芋掘りすっぞい」
天正十八年(1590年)二月、諸将続々出陣、各方面より進軍、その兵数併せ19万。
三月朔日、豊臣秀吉と兵三万二千、「朝敵北条」の大義名分を以て出馬。
兵の総数22万余、兵糧八ヵ月分。
是迄の前代未聞の物量をさらに更新す。
まさに戦国時代の終宴を象徴するものであった。
東海道(箱根路)の先手は豊臣権中納言秀次(以下、秀次)を副将とした徳川軍およそ七万。
秀次「無論ッ、力攻めであるっ。ここで戦らねば、問われるに相違なしっ。然して何が問われるのか!? そうっ、まさに、豊臣家の鼎の軽重がここで問われるのであるっ」
徳川家臣「豊臣秀次公は力攻めのご意向に」
徳川家康「致し方あるまい、忠誠を示す好機とせん」
秀次「今一度問うっ、我らが問われしは」
兵「鼎の軽重に! 鼎の軽重!! 鼎の軽重に候ッ!!!」
仙石隊は徳川軍に紛れ、秀次により鼓舞される兵たちの中にいた。
真野弥兵衛「大将ッ。カナエのなんちゃら叫んどります!」
権兵衛「どうしたいんかわからんが、とにかく黄門様の鼎を支えるぞいっ」
山中城合戦。戦国時代最大級と謂われる攻城戦と相成るのである。
センゴク権兵衛 128話の感想と考察
小田原攻め、開戦直前の今回です。
北条方、豊臣方とも今シリーズで描かれてきた各人物像が対比させられるとともに、戦国時代が終局へ向かいつつある様子が描かれています。
時代の移り変わりを象徴する豊臣方の参謀たち、旧時代に残されつつある北条方の城兵らの様子が対称的に構成されています。
その間には、若さゆえ武力への憧憬を抱く豊臣秀次、それを補佐する徳川家康、そして相変わらずの我らが権兵衛がいます。
というより、権兵衛は旧時代的といったところでしょうか。
時勢を勘で嗅ぎ分けながらも、その生き方は出たとこ勝負の力推し、どんな時でも権兵衛は権兵衛です。
謀略が優勢となりつつある中で猪突に生きる権兵衛のその様に、感情移入させられるのがこの『センゴク』のシリーズなのです。
そんなことを改めて思った今回でした。