2019年2月18日発売の週刊ヤングマガジン12号に連載中の『センゴク権兵衛』。
最新話のあらすじと感想をネタバレありで紹介します。
センゴク権兵衛 前回128話のネタバレとあらすじ
センゴク権兵衛 前回128話のネタバレとあらすじはコチラ!!
センゴク権兵衛 129話のネタバレとあらすじ
三月二十八日、豊臣秀吉(以下、秀吉)、徳川家康(以下、家康)と共に山中城の地形を巡視す。
秀吉「カッカ! 要衝と聞いたが石垣すらないとはのぅ~。干殺しにするまでもない。力攻めで構わん! 秀次めも武威を示したかろう。カッカ」
家康「は!」
一方、仙谷権兵衛(以下、権兵衛)は地元漁師・市川三郎兵衛(以下、市川)の案内で、豊臣秀次(以下、秀次)に献上する供物の狩りに出ていた。
市川「ええ雉がとれやした!」
権兵衛「よっしゃ! コイツを土産に黄門様にお目通りじゃ。ぬおっ」
市川「お気をつけなせい。ここらの土は滑りやすで」
権兵衛「土、違うんか? ここらへんは」
市川「ですじゃ、丁度ここらを境に、赤土と呼ばれやす。粘っこいんじゃが何故か焼き物には向いとらんわ、作物育たんわ、厄介な土じゃで」
権兵衛「確かに赤いの。城に石垣がないんは、そういう事か」
権兵衛が陣に戻ると、秀次筆頭家老・田中兵部大輔吉政(以下、田中)の家臣・川角三郎右衛門(以下、川角)から評定への参加の呼び出しを受けた。
川角「陣借りの御仁、宜しいですかな」
権兵衛「応ッ、出番かいな!!」
川角「出番と言えば、出番ですな」
権兵衛「この土、見ィ! 赤いじゃろ? 敵の城ぁ、手強いど。黄門様にお伝えしたいんじゃが」
川角「コホン」
権兵衛「どした?」
川角「仙谷殿はかつて十万石大名であったと存じております。がしかし、只今、貴殿は陣借り野盗の御身にございましょう。黄門様へのお目通りなどもってのほか。我が主君、田中兵部様が直々にお呼びになられること自体、果報と思うて頂きたい」
権兵衛「田中てな、あの百姓あがりとかいう…」
川角「ゴホン」
権兵衛「あいや、スマン」
川角「直々に及びになられること自体が……」
権兵衛「はい、果報と思うとります」
評定には中村一氏、山内一豊(以下、山内)、一柳直末(以下、一柳)らが集まっていた。
田中「大義、大義。よう集って頂きました」
権兵衛「おお、ナカナカ殿に、イッポー殿、そっちはイチリュー殿」
中村・山内・一柳「コホン」
権兵衛「みんな風邪か?」
川角「コホン、陣借りは後ろに控えて下され」
権兵衛「あいや、つい昔の感じで。黄門様の筆頭家老とはいえ、城持ち大名連を集めるたぁの、奉行の時代になったっちゅうわけじゃ」
田中「土、食べなさるか?」
一柳「は!?」
山内「兵糧は足りております」
田中「然らば、触って頂きたい。この土、剣呑にて」
権兵衛「いかにも、ここらの赤土ぁ、滑るんじゃ!」
川角「陣借りは後ろに…」
権兵衛「はい、控えまする」
田中「そちらの御仁に仰る通り。この城は攻め難し。手前としては無理攻めすべきでないかと思うが、徳川殿への対抗心もあれば、鶴松様がご嫡男となられ焦ってもおられるのであろう。黄門様は力攻めのご意向。さらに殿下のお許しも得たとあっては、手前のごときには諫言能わず。かくなる上は、黄門様の御身を守るために、かの城、身命投げうって攻め陥として頂きたい」
諸将「応、いかにも、鼎の軽重ッ、お任せあれ!」
田中「然らば、諸将の武功を祈りまする」
諸将、散会した後、権兵衛は田中から声を掛けられる。
田中「貴殿は何というか、陣借りにしては、勇んだ目をしとりませんなぁ」
権兵衛「勇んで失敗した挙げ句、ここで野盗扱いされとるわけじゃからの」
田中「然らば、お願いしたい。御蔭部隊に回って頂けぬか」
権兵衛は陣に戻り、家臣たちに役目を告げると、
片岡主膳「はぁ~!? 救援部隊じゃ、武功になりやせんぜ」
相原勘助「仙石隊と言やあ、先駆けでしょうが。一番乗りで目立って、殿下にお目通り願うんじゃないんスかぁ!?」
権兵衛「お天道様がワシらを見とるんじゃとしたら、多分、是が天命じゃ。良ェか、“失敗”ちゅうんはホンマに恐ろしい。タカをくくって判断間違うたら、焦ってさらに泥沼にハマって、高転びする。そうならんために、少しでも死人・ケガ人を減らすんじゃ。失敗を経験しとるワシらにゃ、ピッタリの役目じゃろが。良ぇかァッ、ちゃんと務めたら兵粮を分けてもらえるそうじゃ!!」
家臣ら「……」
権兵衛「もいっちょ、良ぇかァ」
家臣ら「ヘイヘイ、わかりやしたぁ、陣借りなんざこんなもんでさなぁ」
かくて三月二十九日、山中城合戦の火蓋は切られる。
秀次のもとに届きし、戦況報告第一報。
大名格の将の討死の報であった。
センゴク権兵衛 129話の感想と考察
小田原戦の開戦です。
逸る秀次に、かつての権兵衛の姿が掛けられ、“赤土に滑る”と“高転び”が掛けられ、権兵衛を軸とした小田原戦とはこうなるものなのかと、感心させられます。
ここから権兵衛たちがどう巻き返していくのか、次回への期待が高まってきます。
百戦錬磨の権兵衛と百姓あがりと言われる田中吉政が、戦況への直感から意外と馬が合っている様子もキーとなってきそうです。
波乱を持たせつつ、挽回の章の盛り上がりも期待させてくれる回でした。